img ネット販売事例集-長野県中小企業情報センター
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事例に見るネット販売繁盛店の成功要因

1. ネット販売繁盛店になるにはわけがある

 ネット販売の繁盛店は突然出現したものではありません。ITブームの波に上手く乗ったという事情は否めませんが、短期的に目先の売上アップを目指して成功したわけではありません。
 既存製造業・流通業の、いわばオールド・ビジネスの担い手達が、「インターネットという強力な味方」を利用することにより着実に一歩ずつ業績を上げています。
 また、インターネット利用の最大の目的は「受注の効率化によるコストダウン」ではなく、「コミュニケーション手段の多様化による顧客満足度の向上」にあります。
 本来パソコン操作が得意ではなかった経営のベテラン達が、たどたどしい手つきで始めた電子メールにより、お客様の潜在的なニーズを探し当て、大手業者が手を出して来ない、隠れた小さな隙間市場(ニッチ・マーケット)をみごとに獲得しています。
 つまり、「ネット販売店の立ち上げ自体を目的化」するのではなく、「ネット販売店を顧客満足経営実現のための手段」と捉えて取り組んだところが成功して、「ネット販売繁盛店」になっているのです。

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2. ネット販売繁盛店の共通要因

 「戦術は戦略に従属する」と言われます。つまり「優れた基本戦略」の下、それを達成するための「戦術的代替案」はいくらでも存在するのです。ネット販売繁盛店を取材する中、何れも「ネット販売に取り組む基本戦略が明確である」という共通点が浮上しました。以下に共通要因としてまとめられる「基本戦略」を列記します。
 

(1)販売効率より顧客満足を重視

 基本戦略は「ネット販売店で効率的なビジネスをすること」ではなく、「自分たちの商品やサービスをより多くのお客様に知っていただき、自分の店から購入していただくことで、納得し充分満足していただくこと」が重要になっています。つまり効率性だけを求めてはいません。
 ナショナルブランドの商品やサービスを安く、大量に購入するのであれば、大手のディスカウントストアやオークションサイトでいくらでも安く手に入れることができます。また、ネット販売店は利便性とスピードを提供するハイテク自動販売機でもないのです。
 自分の睡眠時間を削り、たどたどしい手つきでキーボードに向かいながら、誠意を込めて「ここだけにしかない逸品情報」を伝え、手間暇惜しまぬ売り手の「誠意」がハイテクなシステムを通じて、狙ったお客様にハイタッチに伝えられていくのです。
 また、問い合わせをいただいたお客様への返信は「クイックレスポンス」を信条としています。一部のネット販売繁盛店の店長が、携帯情報端末(携帯電話)に電子メールを転送して、リアルタイムに受信メールをチェックするのもその為です。
 「ネットで楽して濡れ手に粟の商売ができる」と思ったら、それは大きな幻想だということを取材を通して実感しました。
 

 

(2)事業領域(ドメイン)が明確

 ネット販売店の原点である事業領域(ドメイン)は、誰に(Who)、何を(What)、どの様に(How)販売するのかという3要素により構成されます。優秀なネット販売繁盛店は、この3要素に対する取り組みのバランスがとれ、明確になっている店です。
 まずこのネット販売店はどういう地域で生活をし、何歳くらいの女性を(あるいは男性を)対象としているのかなど、ホームページを見ただけですぐに分かります。そして「当社の選りすぐったこういうオンリーワン商品がありますよ。こんなライフスタイルに組み合わせてみたらいかがですか?個別相談にも応じますよ。商品をお届けする方法とお支払いの方法はこれやあれがありますよ」というバランスが良いホームページとなっています。
 開設当初の事業領域とは違ったところで繁盛しているお店も一部に見られますが、それも当初の仮説として設定したターゲットのお客様と、何度もコミュニケーションを繰り返すうち、本来自店の暖簾とは関係ない「隠されたニーズ」に気づき、個別対応をしているうちに、そちらが大きく成長してしまった、ということです。
 商売の基本である「仮説の設定」→「販売実施」→「仮説の検証」→「修正仮説の設定」というマネジメント・サイクルを回していくことは、現実店舗であれ、ネット販売店であれ何ら変わることはありません。むしろ、現実店舗でこれらのマネジメントを上手にできる経営者や店長達だったからこそ、ネットショップでも成功できたのだと言えます。
 そしてホームページには必ず当店への問い合わせを容易にできる仕組みが用意されています。決してアンケート・フォーマットのように一方的で自動的な問い合わせフォームにはなっていません。むしろローテクな「mail to format」であることが多いです。要は自己満足の商品PRよりも「お客様の声に耳を傾ける」ことに注力する事が、ネット販売店繁盛の秘訣ではないでしょうか。
 

 

(3)問題解決(ソリューション)型ショップが繁盛

 顧客指向のマーケティング発想法を説くセオドア・レビットは、「ドリルではなく、穴を売れ! 顧客は1/4インチのドリルを買うのではなく1/4インチの穴がほしいのだから」といいます。すなわち、「事業を自己中心ではなく、顧客という他人の視点で見直し、顧客の問題解決を図ることこそが現代のマーケティング活動に求められる発想法だ」と言います。
 ネット販売の繁盛店にも、このような経営観のコペルニクス的転回により、過去延長線上の自己中心の発想から解き放たれ「発想はお客様の視点で、足下の小さいことから取り組み、新しいマーケットの開拓に成功した」経営者達が多く見られました。
 信州に住む私達は、四季折々の旬な野菜や果物を、最も美味しい時季に食べることを当たり前だと思っています。しかし、消費地の都市部では「季節」や「旬」という概念は不明確で、お金さえ出せば1年中何でも手に入る便利な時代になりました。
 そんな都市部に年老いた両親を残し、海外に駐在する日本人家族から「定期的に『信州の旬の果物』を両親に送って欲しいという、電子メール注文が増えています」といった事実を複数のネット販売繁盛店を取材するなかで耳にしました。まさに隙間(ニッチ)の問題解決です。
 

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